
こんばんは、ノエル・ギャラードです。
今夜紹介するのは弓岡 勝美著、
着物と日本の色です。
本書は2005年にピエ・ブックスより発行された、「日本特集の色」を着物や帯によって表現さてや色によって分類する「色見本」的な一冊です。
私は男ですので、着物を着る機会があるわけではないのですが、やはり成人式や、結婚式などで女性が着物を着ているのを見かけると「美しい」と感じてしまいます。もちろん着ている女性自身の美しさもあるのでしょうが、着物というのは、その着物を構成している反物そのものが非常に手がかけられた工芸品であり、その製造工程は非常に多くの職人による伝統の技法によって繋がっていますので、一時的な流行とは無縁の美しさを感じるのでしょう。
とくに、着物の色となると、単に「赤」や「青」と呼んでもよいものか分からないほどの多彩な色があり、その色を何と呼んだらよいのか?ということが本書を読むことで、そんな色の呼び方もあるんだなぁ、と感心してしまいます。
特に表紙の着物のような、赤色についての説明を引用します。
太陽によって一日が明ける(アケル)。そのアケルという言葉が「赤=アカ」になったとされる。太陽の恵みである「陽」、暗闇の中でも生活に光を与え安らぎをもたらす「火」、体の中を流れる生命の根源でもある「血」。これら赤色のものはすべて生きていくための根源をなすものである。そのために人間にとって赤色は神聖な色と言える。
とされる赤色だけでも、猩猩緋(しょうじょうひ)朱色(しゅいろ)緋色(ひいろ)真朱(しんしゅ)柿色(かきいろ)韓紅花(からくれない)蘇芳色(すおういろ)赤紅色(あかべにいろ)と本書で解説してある色だけで8種類も存在しており、それらの色の持っている意味合いや、どのような顔料、染料から作られる色なのかを見ているだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
もともとは時代小説に出てくる着物の色のイメージをもっと直感的に感じたいと思って手に取ったのですが、着物の美しい色と柄を見ていると、自分の趣味である写真の撮影の際の色の組み合わせにも使えそうだな、と一冊持っていると非常に便利な色見本帳になるのではないでしょうか?着物が好きな方、そうではないけど、デザイン、特に色の組み合わせについて興味のある方は是非一度手にとって見てください。
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